3PAR は、99.999% のデータ可用性を提供することを目指して設計されているといいます。(参考:ミッションクリティカルシステムの高可用性を実現する HP 3PAR ストレージシステム)
99.999% の可用性とはシステムが使えない時間が、一年間でたったの5分15秒間であることを意味します。
3PAR 7000 シリーズの可用性
2015年5月19日 Update
ドライブ
利用可能なドライブには以下の物があります。
- SSD(cMLC SSD, eMLC SSD)
- 15000rpm SAS HDD(Fast Class drive)
- 10000rpm SAS HDD(Fast Class drive)
- 7200rpm SATA HDD(Near line drive)
これらのドライブは、チャンクレットと呼ばれる、1つ 1GB の小さな単位に分割されます。
RAID を構成するときは、このチャンクレットを1つの物理ドライブのようにして RAID が組まれます。
RAID 構成に使用するチャンクレットは、異なる物理ドライブのものを使用します。
この RAID の可用性には、HA Port(High)、HA Cage(Default)、HA Magazine(Lower) の3種類があります。
3PAR では、物理構成が対応可能であれば、設定値よりも高い可用性が使用されます。
HA Port
RAID のストライプをデバイスポート(SAS-Port)に分散して配置することにより、ポート障害(そのポートの全てのエンクロージャー障害を含む)からデータを保護します。HP 3PAR StoreServ 7×00 では RAID1 のみが構成可能です。
HA Cage
RAID のストライプをエンクロージャーに分散して配置する事により、エンクロージャー障害からデータを保護します。
RAID レベルとセットサイズで最小構成が決まります。ディスクドライブはエンクロージャー毎に均等に配置します。
(例)最小エンクロージャでの HA Cage 構成が可能な RAID 構成
2-Node コントローラの場合
・BaseEnc,1driveEnc=2Enc – RAID1(1d+1d)
・BaseEnc,2driveEnc=3Enc – RAID1(1d+1d), RAID6(4d+2p)
・BaseEnc,3driveEnc=4Enc – RAID1(1d+1d), RAID5(3d+1p), RAID6(4d+2p)/(6d+2p)
4-Node コントローラの場合(*1)
・BaseEnc,2driveEnc=4Enc – RAID1(1d+1d)
・BaseEnc,4driveEnc=6Enc – RAID1(1d+1d), RAID6(4d+2p)
・BaseEnc,6driveEnc=8Enc – RAID1(1d+1d), RAID5(3d+1p), RAID6(4d+2p)/(6d+2p)
(*1)コントローラペアを超えて RAID のストライプを分散して配置することはできないため、コントローラペア毎にドライブエンクロージャが必要となります。その為、4-Node コントローラは、2-Node コントローラ構成の倍のエンクロージャが必要となります。
HA Magazine
RAID レベルに応じたドライブ障害からデータを保護します。
電源
エンクロージャ毎に2台の電源を搭載します。
ホストポート
FC ポートの場合:
ホスト FC ポートは、1つのコントローラに2つの FC ポートを搭載します。
コントローラペアで FC ポートのペアを構成し互いの WWPN を持ち合います。
Node-0 の FC1 と Node-1 の FC1
Node-0 の FC2 と Node-1 の FC2
Node-2 の FC1 と Node-3 の FC1
Node-2 の FC2 と Node-3 の FC2
このSAN スイッチの NPIV 機能と連携して、Node-0 の FC1 に障害があると、Node-1 FC1 が Node-0 FC1 の WWPN を瞬時に有効にすることで Host のマルチパスに影響を与えません。この機能を Persistent Port といいます。
iSCSI ポートの場合:
iSCSI 用の LAN アダプタを追加で搭載することで、1つのコントローラに2つの iSCSI ポートを持つようになります。
FC の場合と同様に、コントローラペアで iSCSI ポートのペアを構成し互いの IP アドレスを持ち合います。
Node-0 の iSCSI-1 に障害があると、Node-1 iSCSI-1 が Node-0 iSCSI-1 の IP アドレスを瞬時に有効にすることで Host のマルチパスに影響を与えません。
コントローラ
7200, 7400 2 Node の場合は、2つのコントローラペアで冗長化します。
1つのコントローラ障害に耐えますが、データキャッシュの冗長化ができなくなるため使われなくなります。つまり、ホストからの書き込み時にキャッシュはライトスルー動作となるため、書き込みのパフォーマンスが著しく低下します。IOPS が 50% ほど低下。
7400 4 Node の場合は、4つのコントローラ(2組のコントローラペア)で冗長化します。
1つのコントローラ障害に耐えます。データキャッシュの冗長化ができるので、キャッシュはライトバック動作のままとなります。著しいパフォーマンス低下はありません。